top of page

グラフィックデザイナーがバーを作るということ

  • 6月29日
  • 読了時間: 6分
ERWIN


バーを作るということは、単にお酒を並べることではありません。

カウンターの高さ。椅子の距離。照明の明るさ。壁の色。音楽の流れ。グラスを置く音。会話が始まるまでの間。

それらが重なって、ひとつの夜の空間になります。

bar & design nextHome は、大阪市中央区・西心斎橋、アメリカ村の外れにある小さな完全会員制バーです。

そして、nextHomeの店主はグラフィックデザイナーとして活動しています。

nextHomeにとって、バーとは、お酒を提供する場所であると同時に、ひとつのデザインされた体験です。


bar & design という名前

nextHomeの正式名称は、bar & design nextHome です。

この「design」は、内装が少しおしゃれであるとか、ロゴがあるとか、そういう意味だけではありません。

店内で流れる音楽。会員証やショップカードなどの印刷物。ウェブサイトやSNSで使う言葉。店内の映像やビジュアル。照明や香り。カウンターでの距離感。会員制という仕組み。

nextHomeでは、そうしたものすべてを、店の体験を構成するデザインとして考えています。

お酒を飲む前から、店を出た後まで。その夜がどんな記憶として残るのか。

そこまで含めて、nextHomeのデザインです。


グラフィックデザインとバーの共通点

グラフィックデザインは、ただ見た目を整える仕事ではありません。

何を伝えるのか。誰に届けるのか。どの順番で見せるのか。どこに余白を置くのか。何を強調し、何を引くのか。

その設計によって、受け取る印象は大きく変わります。

バーも同じです。

どんなお客様を迎えるのか。どんな音楽を流すのか。どんな明るさにするのか。どのくらいの距離で話すのか。どこまで干渉し、どこからは静かにしておくのか。

バーの空気も、偶然だけでできているわけではありません。

nextHomeでは、店の空気そのものをデザインの対象として考えています。


見た目だけではないデザイン

デザインという言葉は、ときどき「見た目の良さ」として受け取られます。

もちろん、視覚的な印象は大切です。

ロゴ、色、文字、印刷物、写真、映像。それらは、店の印象をつくる大きな要素です。

けれど、nextHomeで大切にしているデザインは、見た目だけではありません。

静かに飲めること。一人でいても不自然ではないこと。会話が自然に始まること。大人数で騒ぐ空気にならないこと。初めて来た方にも、店のルールや距離感が伝わること。常連様が安心して大切な方を連れて来られること。

これらも、すべてデザインです。

nextHomeにとってデザインとは、空間の使い方であり、人との距離の取り方であり、夜の質を守るための考え方です。


音楽も、空間の一部

nextHomeでは、音楽も重要な要素です。

音楽は、ただ店内を埋めるためのBGMではありません。

会話の邪魔をしないこと。沈黙を不自然にしないこと。深夜の空気に合うこと。その場所の記憶として残ること。

音楽の選び方ひとつで、バーの印象は変わります。

明るすぎる音楽は、静かな夜を壊してしまうことがあります。強すぎる音楽は、会話を押し流してしまうことがあります。逆に、弱すぎる音楽は、空間の緊張をそのまま残してしまうこともあります。

nextHomeでは、音楽もまた、空間を構成するデザインの一部です。

お酒、照明、香り、会話、沈黙。それらと同じように、音楽も夜の輪郭をつくっています。


会員証や印刷物も、店の一部

グラフィックデザイナーがバーを作る時、印刷物もただの案内ではありません。

会員証。ショップカード。周年の案内。店内の告知。ウェブサイトの文章。SNSの投稿。

それらは、店の外側にあるものではなく、nextHomeという場所を形づくる一部です。

お客様が会員証を持つこと。案内文を読むこと。SNSで店の空気に触れること。ウェブサイトで入店方法を確認すること。

そのすべてが、店に来る前から始まっている体験です。

nextHomeでは、そうした接点も含めて、ひとつのブランドとして設計しています。


完全会員制もデザインである

nextHomeは、完全会員制のバーです。

この仕組みも、店のデザインの一部です。

誰でも自由に入れる店には、その良さがあります。偶然の出会いがあり、街の流れをそのまま受け止める強さがあります。

一方で、nextHomeのような小さなバーでは、店内の空気がとても繊細です。

大きな声。距離感のない振る舞い。無断撮影。大人数での騒がしい利用。その場の空気を読まない行為。

そうしたものが入るだけで、店全体の質が変わってしまうことがあります。

だからnextHomeは、完全会員制という形を選びました。

これは、閉じるためだけの仕組みではありません。静かに飲みたい方が、静かに飲めるようにするため。会員様が安心して大切な方を連れて来られるようにするため。店の空気を理解してくださる方と、長く夜を重ねていくため。

会員制もまた、nextHomeにとっては空間設計の一部です。


小さなバーだからこそ、設計が必要になる

nextHomeは、大阪・西心斎橋、アメリカ村の外れにある小さなバーです。

大きな店舗ではありません。約10坪の店内に、カウンター席とソファ席があります。

小さな空間では、すべてが近くなります。

店主とお客様。お客様同士。音楽と会話。照明と表情。沈黙とグラスの音。

その近さは、小さなバーの魅力でもあります。けれど同時に、少しの違和感が全体に伝わりやすい場所でもあります。

だからこそ、nextHomeでは設計が必要になります。

何を置くのか。何を置かないのか。誰を迎えるのか。どんな使い方を歓迎するのか。どんな使い方には向いていないのか。

小さなバーでは、それらを曖昧にしないことが大切です。


nextHomeに存在しないもの

nextHomeには、カラオケやダーツはありません。

大人数での団体利用を目的としたバーでもありません。にぎやかな宴会や過剰な接客を中心にした店でもありません。

それらを否定しているわけではありません。大阪には、そうした楽しみ方に合う店もたくさんあります。

ただ、nextHomeが作りたい夜とは違います。

nextHomeが大切にしているのは、静かに飲むこと。少人数でゆっくり話すこと。一人で自分の時間に戻ること。音楽やデザインを含めた空間の中で、深夜の時間を過ごすこと。

何を置かないかを決めることも、デザインです。


大阪でデザイン性のあるバーを探している方へ

大阪には、個性的なバーがたくさんあります。

その中でnextHomeは、グラフィックデザイナーが運営する小さな会員制バーとして、少し違う形を目指しています。

派手な装飾で見せるデザインではなく、空間全体の整え方としてのデザイン。お酒だけでなく、音楽、会話、印刷物、映像、香り、距離感が重なるデザイン。店に入る前から、店を出た後まで続く体験としてのデザイン。

大阪・西心斎橋で、デザイン性のあるバーを探している方。アメリカ村周辺で、にぎやかすぎない場所を探している方。静かに飲める会員制バーを探している方。グラフィックデザイナーが作った空間に興味がある方。

nextHomeは、そういう方に向けた場所です。


バーを作ることは、夜を設計すること

グラフィックデザイナーがバーを作るということ。

それは、単に内装を整えることではありません。かっこいいロゴを作ることだけでもありません。

どんな人が集まるのか。どんな会話が生まれるのか。どんな沈黙が許されるのか。どんな音楽が流れ、どんな光がその人の表情に触れるのか。その夜が、その人の中にどう残るのか。

そこまで含めて、ひとつのデザインだとnextHomeは考えています。

bar & design nextHome は、大阪・西心斎橋、アメリカ村の外れにある小さな完全会員制バーです。

お酒を飲むだけではなく、静かな時間を過ごすために。街の喧騒から少し離れ、自分の時間に戻るために。音楽、デザイン、お酒、会話が重なる夜を体験するために。

nextHomeは、今日も小さな空間をデザインしています。

コメント


bottom of page